一匹の猫

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2007年11月27日 11:22

引っ越してからの僕は、毎日のように早起きして、懐かしい町並みを歩いていました。

まだ霧がかったかのような朝もやの中を、雀たちだけが唄を歌っていました。


なにもかも、あのころのままです。




ただひとつの違いは、町並みがすべて小さく見えたことです。

まるでそのまま縮小したかのような感じでした。



きっと自分の身体だけが大きく成長したのでしょう。






そこに暮らしだして半年もしたころでしょうか。


我が家に一匹の猫が訪れるようになりました。




飼い猫なのか、捨て猫なのか、餌を与えると喜んで食べました。



決して家の中には入ろうとはせず、庭の垣根越しに現れては、どこへともなく去っていく毎日でした。





あるとき、その猫の異変に気づきました。


どうやら妊娠しているようなのです。




お腹が大きくなっているのが、遠目からもはっきりと見て取れました。