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Posted by TI-DA at

2007年05月31日

存在への信頼

もっとも小さい草から、木々や動物達や、山や海や、もっとも大きい惑星まで、存在(神)がすべての面倒をみつづけている

だとしたらあなたの面倒もみるだろう


なぜ所有しようとするのだろう

所有欲はただひとつのことを示している



あなたは存在を信頼できていないということだ


あなたは自分で自分の安全や保障を確保しなければならないと思っている

存在を信頼できていないからだ




存在を信頼すれば所有する必要はない


なぜなら、すでにすべてが私達の手の中にあるからだ





・・・・・・・・・・・・


空を飛ぶ鳥達も、野に咲く花達も、空気や水や養分に支えられて生かされています

多くを勝ち得なくても、彼らはその命を全うしています



我々だって同じこと


天におまかせすれば、これからだってちゃんと面倒を見てくれるのです



じつは今までだって自力で生きてきたつもりでいるけれど、常に天の援助が働いていました



僕達はいつだって大きな愛で守られています



その力を信頼すること、それは人生でもっとも大切なことなのかもしれません


  


Posted by Blog Ranking at 09:16ダルマージからのメッセージ

2007年05月29日

続・独りであること

孤独を避けるための試みはすべて失敗に終わってきた

これからも失敗するだろう

なぜならそれは生の根本に反するからだ

必要なことは、自分の孤独を忘れさせてくれる何かではない

必要なことは、独りであることの自覚だ

独りであること・・・それはリアリティーなのだから



それを体感することはとても素晴らしい

なぜなら、それは群集からの、他者からの自由をもたらすからだ



独りを受け容れること、独りであることは、人生の完成を意味する

あなたはもともと完全だ

自分を完成させるために、他の誰をも必要としていない



あなたのうち奥にある中心を見つめてごらん

そこであなたはずっと独りだった

今までも実際にはずっと独りだった


生においても死においても、どこにいてもあなたは独りだ

それは空虚ではなく、あまりにも満たされている


存在のすべての美と祝福に溢れている


その独り性を、あるがままに認め、そこにくつろいだ時、
皮肉にもその時初めて、あなたは真の友人を持つ事が出来る


それはもはや、他者に対する欲求ではなく、まさに分かち合うことだからだ




・・・・・・・・・・・・・・



幻想を幻想と見抜くのを妨げているのが、恐怖心だと思います

独りであることの恐怖


これは自分が全体と分離しているという深い錯覚がもたらす恐怖です


僕達はひとつに繋がっています

そのリアリティーを発見するためには、恐怖心が作り出した「他者との関係」という幻想を捨て、いつも自分が独りであることを受け容れる勇気が必要になります



「ひとり」であることを受け容れた時、それは「ひとつ」になるのです


あなたに神の祝福が訪れますように





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Posted by Blog Ranking at 10:06ダルマージからのメッセージ

2007年05月28日

独りであること

人は独りで生まれ独りで死んでいく

が、人は独りであることの美しさを学び取っていない



父親、妻、夫、子供、恋人、友人・・・

誰かと共にあることを常に追い求めている



人は社交クラブを作った
様々なクラブ・・

ライオンズクラブ、ロータリークラブを作った

政治的、思想的団体を作った

宗教や教会を作った



だがそれらが根本的に求めていることは、
何とかして自分が独りであることを忘れたいということだ


あなたは多くの群集と関わることによって、自分の独り性を忘れようと試みる




しかしそれはあなたに、共にあるという幻想をもたらすだけだ


独りであるということは、あなたの実存にとって非常に本質的なことなので、それを避けることはできない




・・・・・・・・


ダルマージのこのメッセージはとても受け容れがたいものでした

しかし、それが事実であることは心のどこかで知っていました


人は、独りであるというこの事実を見つめ、その中にくつろぐ練習をはじめるべきだと思います

それはリアルな次元に触れる準備となっていくのです







  


Posted by Blog Ranking at 08:50ダルマージからのメッセージ

2007年05月26日

人類の問題

現在抱えている人類の問題は、地球規模の問題であるのに、その解決策は常に国家的に終始する



国家の存在こそが問題の根本だ

国家を終焉させ、ただひとつの世界政府が必要だ



エチオピアでは毎日千人もの人が飢えで死んでいた

そのころ欧州では何十億ドルもの食物が海に捨てられていた


外から客観的に見るものがいれば、我々人類は狂っていると思うだろう



西洋はエチオピアの餓死者には関心がなかった

彼らの関心は自分達の経済や現状をよりよくすることだった


自分たちの経済構造を守るために、無数の人の命を救える食物を喜んで海洋投棄し、それが環境の悪化に繋がってきた



問題は地球規模だ


したがって解決策も地球規模の視点が必要だ


世界政府とは、ひとつの場所の不要なものを、他の場所で必要としている人に渡すという、単純な解決策をもたらす


ひとつの人類にひとつの世界

そうなれば、ひとつの経済だけが存在し、多くの問題は消えてなくなるだろう



  


Posted by Blog Ranking at 14:51ダルマージからのメッセージ

2007年05月25日

宗教について 3

私は宗教というシステムには反対だが、人間にとって宗教性はもっとも大切なものだ

これまでの宗教は寄生虫のように人々を食い物にし、人々を奴隷化し、信じることを強要してきた

そして信心とはすべて、知性に反したものだ



もしひとりひとりの個人が、自由な探求の結果、宇宙と己との繋がりを見出したとしたら、そのとき初めてあらゆる誤解を超えた平和が訪れるだろう


したがってこの先、世界が生き延びるためには、国家が、そして宗教が消え去らなくてはいけない


ひとつの人類で充分だ
ひとつの宗教性で充分だ


真理、愛、瞑想、真正さ、誠実さ・・・それは組織化されたものではない


組織が入り込むや否や、そこに暴力が生じる

なぜならそれと衝突しあう別の組織があるからだ



私達に必要なのはなんの組織もない「個」たちの世界だ


同じような喜び、フィーリング、歓喜

しかしどんな組織も階層も官僚制もあるべきではない



第一に国家、そして第二に宗教


もしこれらのことが可能になるのなら、人類は初めて、宗教的指導者、政治的指導者たちによる破壊から救出されるだろう


多くの人に届きますように

  


Posted by Blog Ranking at 09:06ダルマージからのメッセージ

2007年05月24日

宗教について 2

私はどんな例外もなく、あらゆる宗教に反対だ

理由は単純で、真理は組織化されえないし、愛も組織化されえないからだ

それは政治ではない



これらの宗教はみな、あなた方を群集の一部にし、群集に依存するようにさせてしまった

それらはあなたの個人性、あなたの自由、あなたの知性を取り去ってしまった

変わりに、何の意味もない偽りの信心を与えた



信仰とは自分を欺くための策略だ


人は独自に探求し発見する道を歩みたくない

それは骨の折れることだ

なぜならたくさんの迷信を捨て、自分自身を知る事を妨げてきた多くの条件付けから自分を外さなくてはならなくなるからだ



どんな信仰も役に立たない

真理は探究であり信仰ではない


それは問いかけであり、鵜呑みにすることではない




人は群集の中にいると居心地がいい


何百万人もの信徒が間違えるわけがないように感じられる

何億人もの教徒が間違えるはずがないように感じられる


自分個人なら間違うかもしれないが、この数は信頼できる


これこそが、彼らひとりひとりが心の底で考えていることだ





真の宗教性は、どんな予言者も、どんな救世主も、教会も、法王も、聖職者も必要としない

なぜなら宗教性とは、自分のハートが花開くことだからだ


もし真実の宗教性が世界中に広まったら、宗教は消え去るだろう


人間が、キリスト教徒でも、イスラム教徒でも、ヒンドゥー教徒でも、仏教徒でもなく、単に人間になったら、それは人類にとって途方もない祝福になるだろう



宗教性とは個人的なものだ


それは全宇宙からあなたへの愛のメッセージだ




つづく



このメッセージはダルマージが生前に残した、新しい文化を創り出す新しい人類への遺言です





多くの人に届きますように

  


Posted by Blog Ranking at 08:38ダルマージからのメッセージ

2007年05月23日

宗教について

国家という存在に続いて、大きな弊害が宗教だ


十字軍やジハード、聖なる戦いなどというものがあるはずがない

もし戦争を聖なるものと呼ぶなら、聖なるものでないものが何が残るだろう



宗教は人間本来の姿を破壊してきた

ただバラバラにしただけでなく、互いに対立する部分にし、それは絶え間なく争い続けている



さらに個人に対しては分裂した人格を与えた

それはあなたの肉体や性を非難することで、あなたがたを自分の本性に逆らうように仕向けた


しかもきわめて巧妙で滑稽な方法でなされてきた




宗教は人間が楽しめるものにはみんな反対だ

人間があるがままでは、平安や、喜びや、成就を見出せないようにした

いまここでは楽園を見出せないようにそれらの可能性をすべて奪ってきた



なぜなら、そうなって初めて宗教に利益が生じるからだ



あの世に期待を持たせるためには、この世で人が惨めになる事が必要だ



もし本当にセックスが満たされていれば、生が満たされ、人は神を必要としない

もしセックスが非難され、抑圧され、壊されるなら、人はそれをやましいものと感じ、神や宗教は存在理由を得ることになる




(つづく)


このシリーズは、今は亡きダルマージが生前に、21世紀を作り出す新しい人類に残したメッセージです




多くの人の目に届きますように

  


Posted by Blog Ranking at 09:42ダルマージからのメッセージ

2007年05月23日

国家について

地球を取り巻く全ての生態環境は破壊され続けている

しかし「生」は離れ離れの島のようには存在していない

誰ひとり離れ小島ではない


あらゆるものが互いに織り込まれている


命は相互依存で存在している

私達は互いに密接に相互依存している



人と人が、国と国が相互依存しているばかりではなく、樹々と人、動物と樹々、島と太陽、月と海・・・すべてが互いに織り込まれている


それらは調和した一つの宇宙だ


あなた方は樹々がなければ生きられないし、樹々もまたあなた方がいなければ生きられない


しかしもう手遅れかもしれない


あなた方は自分が何をやっているのか気づきもしないで、あらゆる馬鹿げた「新聞」に使う紙のために、世界中で樹齢数百年の樹々を切り倒してきた


人類が抱えている問題は国際的なものであるにもかかわらず、解決策は国家的次元で終始している



自分達さえ良ければいいという国家的自我の次元


国家という概念に終止符を打ち、世界政府を確立させなければならない




そのためにも、個人のレベルで地球感覚を持ち始めることだ


そして真実は、
個は地球そのものだ
  


Posted by Blog Ranking at 09:41ダルマージからのメッセージ

2007年05月22日

プロローグ

この世に偶然はあるのだろうか。

人生の展開は運命なのか、それとも自らの意思が作り出してきたものなのか。



過ぎ去った日々を想うとき、あらゆる出来事の絶妙なタイミングや、次々と出会う人達との不思議な縁に、人間を超えた何かとてつもなく大きな意思を感じずにはいられない。


ここに紹介する一人の男の運命が、もしあらかじめ定められたものであるならば、あなたの人生もすべて計画されていたことになる。



なぜならひとつの部分が計画通りに進むためには、他のあらゆる要素も決定されていなければならないからだ。



この世は時間という縦糸と、関係という横糸が織り成す巨大なタペストリー(織物)なのだから。










自らの才能に見切りをつけ、アーティスト活動に終止符を打ったAは、その後裏方に回り、レコードプロデューサーに転身していた。

運よくヒット曲にも恵まれ、順風満帆の生活を送っていたが、心の中にはいつも満たされない何かを感じていた。


何かが足りない。


何かが違う。


自分には他に進むべき道があるのではないか。

そんな漠然とした思いが、Aの心に表れては消える日々が続いていた。




そんなある日、仕事の打ち合わせの帰り道、渋谷の歩道橋を上っていると突然意識が遠のき、目の前が真っ白になったかと思うと、後ろ向きにつんのめるようにして、Aの身体は階段から下に転げ落ちていた。



そしてそこから、彼の人生はあらぬ方向に流れ始めていく。







「ウワーーーー」


・・・・・・・・・・



階下に身体が横たわっている

周囲の人たちが近づいてきて人垣ができる



数メートル上から見下ろすもう一人の自分

「あれ?死んじゃったのかな・・・ちっとも痛くない・・・」


次の瞬間、異次元のオーロラのような光に身体が吸い込まれていく

「!!!!」



...........



急に静かになったかと思うと、どこからともなく動物達の集団の足音が鳴り響いてきた


眼下にはアフリカの大平原

キリンや象が群れをなして走っている


あまりに突飛な光景に、我を忘れてその壮大なショーに見入っていると、

再びその身体は7色に輝く光に吸い込まれていった



ヒマラヤの高原地帯が見える


バザーを行きかう人々


なだらかな丘陵


川や岩山や農村地帯や・・・





そしてまた、都会のビルと交通ラッシュ

次々と場面が展開する


「うわーなんだろう。こりゃすごいや!!!」



不思議と恐怖心がない

体も軽くむしろ爽快な気分だ



・・・・・・・



先程までいた都会の雑踏が見える



何一つ変わらぬ街並み

横たわっていた自分の身体が消えている



あれ、僕はどこに行ったんだ・・・?




『イマ ミテキタ スベテガ アナタデスヨ』



「え?だれ?」

「全てが僕って・・・どういうこと?・・・?」



次の瞬間、自分の中からそれまでの自分がガサっと崩れ落ち、残ったからっぽの自分が、空や大地全体に広がって、全てと一体化している



そして地球全体
(地球が自分の顔をしている)



・・・!!!



大きなショックが体中を走る



わ・か・っ・た



そうだったのか!
みんな一つだったんだ!!




僕もあいつも敵も味方も、みんなみんな・・・ひとつだったんだ







本当はみんなで愛しあえるし、みんなで仲良くできるし、みんなで助けあえるんじゃないか


だってみんな同じ一つの命なんだから・・・




なぜこんな簡単なことに気づかなかったんだろう。




戦争・・・飢餓・・・生存競争・・・裏切り・・・喧嘩・・・憎みあい・・・




いったい僕達人間は何をやってるんだろう



・・・・・・・・・・・・・・



いつかきっとみんなが気づくさ


こんなあたりまえの事にきっと気づくさ



その時すべてが解決するんだ



その時、悠久の昔からの人類の夢がす・・・べ・・・て・・・





急に次元がもどる






病院のベッド


見守る家族


「ああよかった、気がついた!!」

「イタタ・・・」




夢だったんだろうか?


いや夢じゃない


とてもリアルでクリヤーな体験だった




それに今とても楽な気分だ

生まれ変わったような気持ちだ



・・・・・・・・・



医師「レントゲンの結果も異常ないし、打ち所がよかったんですな、この分ならすぐに退院できるでしょう」


家族「本当にありがとうございました」


ホッとしたムードが漂う病室




ベッドに横たわったまま一人ぼんやりと宙を見つめているA



・・・・・・・・・・



今迄俺は何をやってたんだ

何を気張って生きていたんだろう




もう誰かのフリをして格好つけたり、
他人の目を気にして生きたりしなくてすみそうだ



もう背伸びはいらない



お金や物を追いかけても、どこまで行ってもきりがないってこともよくわかったぞ


あれさえ手に入れば、これさえ手に入ればと走り続けてきたけれど、どこまでいってもいつも何かが足りなかったじゃないか



これは外側のものでは埋まらなかったんだ



幸せを「いつか・どこか」に探していたけど

それはいつも「いま・ここ」にあったんだ




この気づきを多くの人たちに伝えなければ・・・

そうすれば世の中は変わる


それが自分の使命のような気がする



でも・・・・



どうやって?


誰に伝えたらいいんだ?




『カ・・ン・・ナ・・ガ・・ラ・・』




あっ・・さっきの声だ

「かんながら?」



・・・・・・・・・・・・



怪我のために今のプロジェクトには復帰できそうにない


次の仕事までは、まだ数週間ある



『しょうがない、しばらくゆっくりするか』



病院の窓の外には青い空・・・雲がゆったりと流れている

あてもなくただ風の吹くままに流れていく白い雲



『そうだ、怪我が治ったら旅にでも出てみよう』




・・・・・・・・・・・・・





平成元年3月

奈良県奥吉野山中



リュックを背負い、杖をつき、頭にバンダナを巻いたAが、緑の山々に囲まれた渓谷を歩いている

空にはトンビがゆうゆうと羽を広げて、まるで時間が止まったかのようだ



農道


篭を背負い畑仕事にむかう村人が二人


A「このあたりに宿はありますか?」

村人「この先に民宿ならあるけんどのお」

A「予定もたてずにふらふらしてるもので」

村人「今は神社の行事もないし、大丈夫じゃろう」

A「どうもありがとうございました」




村人の後ろ姿


「そういやあ、また出たってのお」

「弁天さんの上にけえのお」



A「???」






吉野郡天川村坪内


まだ肌寒い弥生の風にさらされた大銀杏の木

雌雄一体の巨木が、堂々と空に向い縦横無尽に裸の枝を伸ばしている



振り向くとその向かいに光輝く一角が見える



淡い光の中に赤い鳥居、小さな池にかかる赤いたいこ橋

まるで水の中に揺らぐ龍宮城のようだ



何かに引かれるようにフラフラっとその中に入っていく

小高い山の上からトントンと宮大工の鎚の音



社務所の隣の宝物殿の前で足がピタリと止まる



あたりに神秘的な雰囲気が漂っている



体が吸い込まれるような不思議な感覚


その瞬間とてつもなく力強いエネルギーが背骨を螺旋状に駆け昇った



『何だここは!!』




急に背後から声がかかる


「旅のお方かな」


ハっと我にかえり振り向くA



トトロのような宮司がニッコリ笑っている。(天河弁財天社宮司 柿坂神酒之祐)

「ご本殿は今建て変え中じゃ。御神体は今はこの宝物殿の中にいらっしゃる」



「ここは何ですか?」

「日本三大弁天の筆頭、天河弁財天社じゃよ」


「てんかわ・・・?」



宮司「吉野熊野本宮にして龍神信仰の地でもあり・・・・ん?・・・・・!!」

じっとAを見つめ何かを感じている様子



A「・・・?」



「・・・ゆっくりして行きなせえ、ゆっくりな。ホッホッホ」




天界の住人のような後ろ姿を見守る


『なんだか不思議な人だな・・』






神社を後にして、また少し歩くと「天の川温泉」の看板

A「(^o^)♪」
 


湯船の中で身体を伸ばす

「ああ"~~~~~~気"持ぢがいい」


浴場の窓のむこうには、山々に囲まれた天川の渓流が大きくカーブを描いている

絵に描いたようなその景観は、都会のあわただしさとは対照的な、時間のない神秘な世界を感じさせてくれた



「なんて綺麗なんだ、こんなところが現実にあるなんて」




湯気の向こうから巨漢が入ってくる


「おお、やっぱりここにいんしゃったか」

ニコニコ笑う宮司



「ああ、さっきの・・・それにしてもここは素晴しい所ですね」


「ホッホッホ、気に入られたかいのお。そりゃあそうじゃろう。実はな、あんたはここに深い縁のある方でな、この夏に神社で240年振りの大きなお祭りがあっての、あんたはそれで呼ばれてきたんじゃ」


『呼ばれた?何言ってんだ、僕はただ偶然に通りかかっただけなのに・・・』



「ワシを手伝どうてくれんかのお」

「今日ですか?いいですよ、急ぐ旅じゃないし。でも僕なにもできないですよ」


「なあにほんの4カ月間じゃて」

「え?4カ月ずっと?・・・え?・・・で、でも・・・急にそんな・・・」


トトロは、ニっと笑うとザバッと湯を後にした。


「????なんなんだ?」

唖然として大きな背中を見送る



今の宮司さん不思議な感じの人だな

今までに会ったことのないタイプだ

あそこまで確信もって言われると説得力あるよな

ここに深い縁がある?・・・本当かよ


しかしそれにしてもここはなんて素敵な所なんだろう

もしかしてこれが神気とか霊気とかいわれるものかな


こんなところに4カ月間もいたら命がリフレッシュするだろうなぁ・・・


本当にいられるもんならいてみたいよ



でもこの先4カ月か・・・

4カ月も東京を留守にしたらきっと仕事もなくなっちゃうし・・・ブツブツブツ・・・





温泉の外

村人たちが噂話しをしている


「めずらしいことがあるもんじゃ、あの宮司が温泉来とった」

「ほんに初めてじゃなかろうか」

「あの一件があって温泉には、よう来んかったもんな」



A「あのぉ、あの一件って?」


「温泉建設の時にやな、この一帯は弁天さんの身体じゃけん観光施設の建設は許さんっての。最後まで反対しとったんじゃ」

「あのガンコな宮司がのお。めずらしいこともあるもんじゃ。年号が平成に変わって、変な光が降りてくるわ、宮司が温泉に来るわ、いったいどうなっちょるんじゃろう」




僕に会うために初めて・・・か・・・



宮司の顔の回想
「あんたはここに深い縁のある方じゃ。ワシを手伝どうてくれんか」





天川の川原


川のほとりにたたずんで、冷たい風を受けながら黙って流れを見つめている



宮司の声・回想
「この夏に神社で240年振りの大きなお祭りがあってのお。あんたはそれで呼ばれてきたんじゃ」


「・・・・・・・」



村人の声・回想
「あのがんこな宮司が、よお温泉に来よったのお・・・」


「・・・・・・・」




ふと何かを決めたように

「よし!」




社務所

「宮司さんおられますか?」

巫女「今しがた山をおりて下界にいかれました。」


「そうですか、それじゃ帰られたらお伝え下さい。4か月分の荷物を取りにいったん帰京しますがまたすぐ戻ると」

そう言って急ぎ足で立ち去る


背後から大声で「あのお、お名前は・・・?ちょっと・・・」



「Aです!さっき温泉で会ったAだと伝えて下さい!」






東京


いろんな関係者に電話で仕事のキャンセルを告げている

「はい、もうしわけありません。また帰ってきたらよろしくお願いします」


関係者「何を無責任な、4ヶ月も待てるわけないでしょ・・・もういいよ、わかった」

ガジャン!



「やれやれ、また怒らせちゃった」




天河神社には東京にない何かがある

物質主義にはまり込んでしまった人間たちに、見えない霊的世界を感じさせてくれる何かの強い力がある



友人「おう。久しぶりじゃない。怪我したんだって?」

A「それがさ、天河ってとこ知ってる?」

友人「はあ?」




誰かに天河の事を伝えたくてしかたがない

天河の地でなら、あの時内側で起きた不思議な体験と、あの気づきをわかってもらえるかもしれない




でもほとんどの人間は興味も示さず、話を聴いてもくれない

それどころか、頭を打っておかしくなったとか、宗教にでもはまったのだろうとか、そんな噂が立ち始めていた





「・・・待てよ!・・・あの人ならもしかして・・・・」




赤坂 
番組制作会社「オンザロード」オフィス


映画監督 龍村仁

テーブルをはさんでA



龍村「約束もなしに急に訪ねてくるからびっくりしたよ」


「実は天河神社っていうところがありまして。」

龍村「??」



A「かくかくしかじか、ペラペラペラ」


秘書「監督、打ち合わせのお時間です」


A「そんでもって、地球はひとつの命で・・・ペラペラペラ」


龍村「ふむふむ」


A「そんでもって、神気と霊気が・・・ペラペラペラ」

龍村「ほお・・・」


秘書「監督、もう出掛けないと遅れてしまいますよ」



A「だからつまるところ、ペラペラペラ」

龍村仁「ふ~ん、それは面白そうだ。近い内に必ず行くよ」




翌日


友人B「今度こういう仕事を頼みたいんだけど・・・」

A「ああ、俺ダメなんだよ。これから4ヶ月間天河って所に・・・」


友人B 「ええっ?!神社の祭りの手伝い?」



A「そんなわけだから。じゃあ俺もう行かなきゃ」







天川村坪内地区 天河神社


A「お世話になります。よろしくお願いします」

宮司「ホッホッホ。必ず来ると思うとりました。さっそくこれに着替えて」



見ると神主の白装束が置いてある

「え?これを着るの?」


まだ肌寒さが残る社務所の奥の間で、みようみまねで装束をつける




宮司「こちらへ」



勺を持って宮司の後に続くA



『って・・・来てみたはいいけど俺・・・こんな格好で何やってんだろう・・・』



初めて我に返り

『何故ここにいるんだ?・・・いったいどうしちゃったんだ?・・・仕事どうしよう・・・』






本殿が造営中のために、宝物殿の中に作られた仮設神殿の前に坐る



宮司「たかまのはらにかむずまります・・・・なんたらかんたら・・・」



あたり一面に朗々とした宮司の声がこだまする




宮司「なんたらかんたら・・・なんたらかんたら・・・・」




そのうち眠くなってコックリッコックリ




・・・時間経過・・・




宮司「・・・・かんながらの道を・・・・」


はっと目が醒める

「今何て言った?・・・たしか、かんながらって・・・」




宮司「あまつかみくにつかみ・・・」






天河の杜を夕闇が包み始め、杉の木立をむささびが腕を広げて飛んでいる




造営中の神殿の磐座(いわくら)の上に、白色に光る謎の球体が人知れず漂っていた事を、Aには気づくすべもなかった。



続きは書籍で


随(かんながら)神


  


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